日本では故人を供養するため、葬儀後に行われる「法事」という儀式があります。
この記事では、法事の意味や何をするのか、そして49日や一周忌、納骨までの回忌について解説します。
法事とは何か?
法事とは、亡くなった人の供養をする仏教の行事です。
法要と会食を含む一連の儀式を指します。
法要とは、僧侶が読経や法話をすることだけを意味します。
法事にはいろいろな種類がありますが、一般的には初七日から三十三回忌まで行われます。
法事の時期や回数は地域や宗派によって異なる場合もありますので、詳しくはお寺さんにご相談ください。
法事は葬式とどう違うのか?
法事と葬式の違いについてお答えします。
法事と葬式は、目的や意味が異なる行事です。
葬式は、故人の死を悔やみ、遺体を埋葬するための儀式です。
法事は、故人の死後の供養として行われる儀式で、仏教において釈迦の教えを知ることを意味します。
また、法事と葬式では、参列者や流れが違います。
葬式には親族以外にも故人に縁があった人たちが集まりますが、法事には基本的に親族しか参加しません。
葬式は40分から1時間ほどかかりますが、法事は20分ほどで終わることもあります。
法事の種類や時期/法事はいつ行われるのか?
法事は、故人の死後の供養として行われる儀式で、忌日法要と年忌法要の2種類があります。
忌日法要は、故人が亡くなった命日から数えて7日ごとに行われる法事です。
初七日、五七日、七七日などがこれにあたります。
忌日法要は、故人の魂が三途の川を渡るまでの間に行われるとされます。
年忌法要は、故人が亡くなった後に毎年巡ってくる命日に行われる法事です。
一周忌、三回忌、七回忌などがこれにあたります。
年忌法要は、故人の魂が仏様と同じ境地に達するまでの間に行われるとされます。
法事の服装マナーについて
法事の服装は、基本的には礼服が好ましいです。
遺族の場合は、初七日から三回忌までは正礼装または略礼服を着用することが望ましいです。
参列者の場合は、喪服や地味な色のスーツやワンピースなどが適切です。
法事の際には、派手な色や柄、アクセサリーや皮製品などを身につけることはマナー違反になります。
また、季節に応じて暑さや寒さ対策をする場合も、控えめな色や素材を選ぶようにしましょう。
法事の服装に関しては、地域や宗派によっても異なる場合がありますので、不安な場合は主催者やお寺さんに確認することをおすすめします。
法事で香典を渡す時のマナー
法事で渡す香典は、御供物料と呼ばれます。香典を渡す際には、以下の点に注意しましょう。
- 香典は、香典袋という専用の袋に入れることがマナーです。
- 香典袋の表面には、自分の氏名や住所を書きます。
- 裏面には、「御供物料」と書きます。
- 香典袋は、必ず袱紗(ふくさ)という布で包んで持ち運びます。
- 香典を渡すタイミングは、法事が始まる前に受付で行います。
- 香典を渡す際には、のし書きが相手から読める方向に向けて両手を添えて差し出します。
- 香典を渡すときにかける言葉は、「ご苦労様です」「お悔やみ申し上げます」などが一般的です。
法事での香典金額の相場は?
法事での香典金額は、故人との関係性や会食の有無によって変わります。
一般的には、以下のような目安があります。
- 親族:1万円~5万円
- 特に親しい関係者:1万円~3万円
- 一般的な仲の関係者:5千円~1万円
会食がない場合は、上記の金額から会食分(約5千円~8千円)を引いた金額を包みます。
また、特別な指示がある場合はそれに従います。
法事後の会食でのマナー
法事後の会食は、故人を供養するための静粛な食事です。
そのため、以下のようなマナーに気をつける必要があります。
- 会食に出席する場合は、香典金額を増やすこと
- お祝いの席で出されるような伊勢海老や鯛などは避けること
- 席順は施主側が決めることで、住職や遺族は上座に座らせること
- 住職が欠席する場合は、お食事代として「御膳料」を渡すこと
- 飲み物はアルコールでも構わないが、酒盛りにしないこと
- 食事中や食事後に故人の思い出話をすること
以上が、法事後の会食のマナーです。
49日法要とは?
四十九日法要とは、故人が亡くなった日を1日目として49日目に行う法要のことです。
仏教では、死後49日間は中陰と呼ばれる霊界での修行期間であり、その終わりに極楽浄土や来世への転生が決まるとされています。
四十九日法要は、故人の成仏を祈り、遺族や親族が喪に服する期間を終える儀式です。
四十九日法要に参列する場合は、マナーや服装に気をつける必要があります。
一般的には、黒や紺などの地味な色の喪服や礼服を着用し、香典やお線香を持参します。
また、お坊さんにお布施を渡す際は、金額や書き方にも注意しましょう。
四十九日法要の流れ
四十九日法要の流れは、一般的には以下のようになります。
- 一同着席:遺族との血縁が深い順から前に座り、施主は僧侶の後ろに座ります。
- 開始の挨拶、僧侶入場:僧侶が入場し、施主が開始の挨拶をします。
- 読経:僧侶が読経を唱え、参列者も合わせて唱えます。
- 献香:施主や遺族から順にお線香をあげます。
- 法話:僧侶が故人や四十九日法要について説法します。
- 香典渡し:施主や遺族から順に香典を渡します。
- お布施も同時に渡します。
- 終了の挨拶、僧侶退場:施主が終了の挨拶をし、僧侶が退場します。
四十九日法要は自宅や寺院などで行うことが多いですが、場所や宗派によって流れは異なることもあります。
事前に確認しておくと安心です。
四十九日以降も7日ごとに行う必要は?
四十九日以降も7日ごとに行う必要はありません。
四十九日は、故人の魂が来世への行き先が決まり、家を離れる日とされています。
そのため、四十九日以降に法要を行うと、故人の魂が迷ってしまうという考え方があります。
ただし、百か日や一周忌などの年忌法要は別です。
これらは故人の魂が仏様と同じ境地に達するまでの間に行われるもので、故人への供養や追善の意味があります。
以上が、四十九日以降の忌日法要についてです。
四十九日法要以外にも忌中・忌明けで気をつけることは
忌中とは、故人が亡くなった日から四十九日法要までの期間のことで、遺族が喪に服すことを示すために喪章や喪服を着用したり、楽しい行事や旅行などを控えたりすることが一般的です。
忌中の期間は宗派や地域によって異なる場合もあります。
忌明けとは、忌中の期間が終わる日のことで、四十九日法要を行うことが多いです。
忌明けは故人の魂が家を離れて浄土へ向かう日とされており、遺族も喪から解放される節目です。
忌明け後は喪章や喪服を外し、普段通りの生活に戻ることができます。
忌中・忌明けに気をつけることは、故人や遺族への配慮です。
故人の冥福を祈り、遺族の気持ちに寄り添うようにしましょう。
一周忌法要とは?
一周忌法要とは、故人が亡くなってから満1年目の命日に行われる法要です。
一周忌法要は、故人の魂が浄土へ行くための最後の供養とされており、年忌法要の中で最も重要です。
一周忌法要の流れは、四十九日法要と似ていますが、以下のような違いがあります。
- 卒塔婆:卒塔婆とは、故人の名前や戒名を書いた木製の板で、故人を象徴するものです。
- 一周忌法要では卒塔婆を立てることが多く、遺族や参列者からも卒塔婆を奉納することがあります。
- お斎:お斎とは、僧侶や参列者に食事を振る舞うことです。
- 一周忌法要ではお斎を行うことが多く、故人や遺族への感謝や慰めの気持ちを表します。
- 香典返し:香典返しとは、四十九日法要で受け取った香典に対するお礼の品です。
一周忌法要では香典返しを渡すことが多く、金額相場は香典額の半分程度です。
回忌とは何か?
回忌とは、故人が亡くなった日から一定の年数を迎えた祥月命日を指す言葉です。
回忌に合わせて、遺族は故人を供養するために法要を設けます。
回忌の数え方は、亡くなってから満1年経つと一周忌といいます。
その次は二周忌となりますが、2年目以降は亡くなってからの年数に「1」を加えて「回忌」と呼びます。
例えば、三回忌は故人が亡くなってから2年目、七回忌は6年目に行います。
回忌の期間や頻度は宗派や地域によって異なりますが、一般的には三回忌まで毎年行い、その後は5年ごとに行うことが多いです。
どんな法要を行うかも宗派や地域によって異なりますが、僧侶に読経をしてもらったり、お斎やお供え物を用意したりすることがあります。
納骨式とは?
納骨式とは、故人の遺骨を墓地や納骨堂などに安置するための儀式です。
納骨式は故人を供養するための大切な儀式であり、遺族や親族、友人などが参列します。
納骨式の時期は決まっていませんが、一般的には四十九日法要と一緒に行うことが多いです。
納骨式の準備としては、寺院や墓地に日程や時間帯を連絡したり、戒名彫刻や卒塔婆を用意したりすることがあります。
納骨式の流れ
納骨式の流れは以下のようになります。
- 遺骨を持って寺院や墓地へ向かう
- 僧侶に読経をしてもらう
- 遺族が遺骨を手渡しで受け取る
- 遺族が遺骨を墓穴や納骨壇に入れる
- 参列者も遺骨に手を合わせる
- 僧侶にお布施を渡す
- 参列者から香典やお供え物を受け取る
納骨式後には会食や引き出物を用意することもありますが、必須ではありません。
法事とは何? 49日や一周忌、納骨までの回忌を解説まとめ
日本の文化に根ざした法事は、故人を供養するための大切な儀式です。葬儀とは異なり、法事では故人の供養を続けることが目的となります。
法事では、読経や参拝などの儀式が行われ、故人の霊に対する祈りが捧げられます。
また、49日法要や一周忌、納骨までの回忌など、故人を供養する期間や方法についても様々な習慣があります。
法事の意味や方法について理解し、故人を大切に供養することが、日本の伝統文化を守ることにつながります。